契約条項約款
第2版2020年5月26日以降契約用
第1条 総則
表記の工事について、発注者と受注者とは、各々対等な立場において、互いに協力し、信義を守り、契約書、この契約条項および添付の設計図・仕様書(以下「設計図書」といい、現場説明書およびその質問回答書を含む)にもとづいて、誠実にこの契約を履行する。
2. 受注者はこの契約にもとづいて、工事を完成して契約の目的物を発注者に引き渡すものとし、発注者は、その請負代金の支払を完了する。
第2条 工事用地など
発注者は、敷地および設計図書において発注者が提供するものと定められた施工上必要な土地などを、施工上必要と認められる日(設計図書に別段の定めがあるときはその定められた日)までに確保し、受注者の使用に供する。
第3条 一括下請負・一括委任の禁止
受注者は、工事の全部もしくはその主たる部分または他の部分から独立して機能を発揮する工作物の工事を一括して、第三者に請け負わせることもしくは委任することはできない。ただし、建設業法第22条第3項に定める多数の者が利用する施設または工作物に関する重要な工事で政令で定めるもの(共同住宅を新築する建設工事)以外の工事で、あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合は、この限りではない。
第4条 条件の変更
つぎの各号の一にあたるときは、ただちに書面をもって発注者に通知する。
a 工事現場の状態・地質・湧水・施工上の制約などについて、設計図書に示された施工条件が実際と相違するとき。b 工事現場において、施工の支障となる予期することのできない事態が発生したとき。
2. 前項の場合、工事の内容、工期または請負代金額を変更する必要があると認められるときは、発注者・受注者が協議して定める。
第5条 第三者損害
施工のため、第三者に損害を及ぼしたときは、受注者がその損害を賠償する。ただし、その損害のうち発注者の責に帰すべき事由により生じたものについては、発注者の負担とする。
2. 前項の規定にかかわらず、施工について受注者が善良な管理者としての注意を払っても避けることができない騒音・振動・地盤沈下・地下水の断絶などの事由により第三者に与えた損害を補償するときは、発注者がこれを負担する。
3. 前二項の場合、その他施工について第三者との間に紛争が生じたときは、受注者がその処理解決にあたる。ただし、受注者だけで解決し難いときは、発注者は、受注者に協力する。
4. 前三項の場合、受注者は、発注者に対してその理由を明示して必要と認められる工期の延長を請求することができる。
第6条 施工一般の損害
工期の完全引渡までに、契約の目的物、工事材料・建築設備の機器、支給材料、貸与品、その他施工一般について生じた損害は、受注者の負担とし、工期は延長しない。
2. 前項の損害のうち、つぎの各号の一の場合に生じたものは発注者の負担とし、受注者は、発注者に対してその理由を明示して必要と認められる工期の延長を求めることができる。
a 発注者の都合によって、着手期日までに工事に着手できなかったとき、または発注者が工事を繰延べもしくは中止したとき。b 支給材料または貸与品の受渡が遅れたため、受注者が工事の手待または中止をしたとき。c 前払または部分払が遅れたため、受注者が工事に着手せずまたは工事を中止したとき。d その他発注者の責に帰すべき事由によるとき。
第7条 不可抗力による損害
天災その他自然的または人為的な事象であって、発注者・受注者いずれにもその責を帰すことのできない事由(以下「不可抗力」という)によって、工事の出来形部分、工事仮設物、工事現場に搬入した工事材料・建築設備の機器(有償支給材料を含む)または工事用機器について損害が生じたときは、受注者は、事実発生後すみやかにその状況を発注者に通知する。
2. 前項の損害について、発注者・受注者が協議して重大なものと認め、かつ、受注者が善良な管理者としての注意をしたと認められるものは、発注者がこれを負担する。ただし、火災保険等で損害を填補するものがあるときは、それらの額を発注者の負担額から控除する。
第8条 完成・検査
受注者は、工事を完了したときは、設計図書に適合していることを確認して、発注者に検査を求め、発注者はすみやかに受注者の立会のもとに検査を行う。
2. 検査に合格しないときは、受注者は、工期内または発注者の指定する期間内に修補または改造して発注者の検査を受ける。
3. 受注者は、工期内または発注者の指定する期間内に、発注者の指示に従って仮設物の取払、あと片付などの処置を行う。受注者の処置が遅れているとき、催告しても正当な理由がなくなお行われないときは、発注者は、受注者に代って行い、その費用を受注者に請求することができる。
第9条 請求・支払・引渡
第8条1項または2項の検査に合格したときは、契約書に別段の定めのある場合を除き受注者は、発注者に契約の目的物を引き渡し、同時に発注者は受注者に請負代金の支払を完了する。
2. 受注者は、契約書に定めるところにより、工事の完成前に部分払を請求することができる。この場合、出来高払によるときは、受注者の請求額は、発注者の検査に合格した工事の出来形部分と検査済の工事材料・建築設備の機器に対する請負代金相当額の9/10に相当する額とし、支払請求締切日までに発注者に請求する。
第10条 契約不適合責任
発注者は契約の目的物に契約不適合があるときは、受注者に対し、書面をもって、目的物の修補又は代替物の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、その履行の追完に過分の費用を要するときは、発注者は履行の追完を請求することができない。
2. 発注者は、引き渡されたこの契約の目的物に関し、引渡しを受けた日から2年以内でなければ、契約不適合を理由とした前項に定める履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請または契約の解除をすることができない。
3. 建築設備の機器本体、室内の仕上げ・装飾、家具、植栽等の契約不適合については、引渡しの時、発注者が検査して直ちにその履行の追完を請求しなければ、受注者はその責めを負わない。ただし、当該検査において一般的な注意の下で発見できなかった契約不適合については、引き渡しを受けた日から1年を経過する日まで請求することができる。
4. 本条の規定は、契約不適合が受注者の故意または重過失により生じたものであるときは適用せず、契約不適合の責任については、民法の定めるところによる。
5. 発注者は、この契約の目的物の引き渡し時に、契約不適合があることを知ったときは、直ちに書面をもってその旨を受注者に通知しなければ、当該契約不適合に対する請求等をすることができない。但し受注者が当該契約不適合があることを知っていたときは、この限りではない。
6. この契約が、住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条第1項に規定する住宅新築請負契約である場合には、工事目的物のうち住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条に定める部分の瑕疵(構造耐力または雨水の侵入に影響のないものを除く。)について請求等を行うことのできる期間は、10年とする。この場合本条の規定は適用しない。
第11条 請負代金額の変更
つぎの各号の一にあたるときは、当事者は、相手方に対して、その理由を明示して必要と認められる請負代金額の変更を求めることができる。
a 工事の追加・変更があったとき。b 工期の変更があったとき。c 契約期間内に予期することのできない法令の制定・改廃、経済事情の激変などによって、請負代金金額が明らかに適当でないと認められるとき。d 中止した工事または災害をうけた工事を続行する場合、請負代金額が明らかに適当でないと認められるとき。
第12条 履行遅滞・違約金
受注者の責に帰すべき理由により、契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができないときは、別に特約のない限り、発注者は、遅滞日数1日につき、請負代金額から工事の出来形部分と検査の工事材料・建築設備の機器に対する請負代金相当額を控除した額に対し年10%の割合で計算した額の違約金を請求することができる。
2. 発注者が第9条の請負代金の支払を完了しないときは、受注者は、遅滞日数1日につき支払遅滞額に対し年10%の割合で計算した額の違約金を請求することができるものとし、発注者が前払または部分払を遅滞しているときも同様とする。
3. 発注者が前項の遅滞にあるときは、受注者は、契約の目的物の引渡を拒むことができる。この場合、受注者が自己のものと同一の注意をもって管理したにもかかわらず契約の目的物に生じた損害および受注者が契約の目的物に生じた損害および受注者が管理のために特に要した費用は、発注者の負担とする。
第13条 発注者の中止権・解除権
発注者は、必要によって、書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。この場合、発注者は、これによって生じる受注者の損害を賠償する。
2. つぎの各号の一にあたるときは、発注者は、書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。この場合(fを除く)、発注者は受注者に損害賠償請求をすることができる。
a 受注者が正当な理由なく、着手期日を過ぎても工事に着手しないとき。b 工事が著しく遅れ、工期内に受注者が工事を完成する見込がないと認められるとき。c 受注者が第3条の規定に違反したとき。d 本項a,b,cのほか、受注者がこの契約に違反し、契約の目的を達することができないと認められるとき。e 受注者が建設業の許可を取消されたときまたはその許可が効力を失ったとき。f 受注者が支払を停止する(資金不足による手形・小切手の不渡りを出すなど)などにより、受注者が工事を続行できない恐れがあると認められるとき。g 受注者が第14条の各号の一に規定する理由がないのにこの契約の解除を申し出たとき。
3. 発注者は、書面をもって受注者に通知して、前二項で中止された工事を再開させることができる。
4. 第一項により中止された工事が再開された場合、受注者は、発注者に対してその理由を明示して必要と認められる工期の延長を請求することができる。
第14条 受注者の中止権・解除権
つぎの各号の一にあたるとき、受注者は、発注者に対し、書面をもって、相当の期間を定めて催告してもなお解消されないときは、工事を中止することができる。
a 発注者が前払または部分払を遅滞したとき。b 発注者が第2条の工事用地などを受注者の使用に供することができないため、または不可抗力などのため受注者が施工できないとき。c a,bのほか、発注者の責に帰すべき理由により工事が著しく遅延したとき。
2. 前項における中止事由が解消したときは、受注者は、工事を再開する。この場合受注者は、発注者に対してその理由を明示して必要と認められる工期の延長を請求することができる。
3. つぎの各号の一にあたるとき、受注者は、書面をもってこの契約を解除することができる。
a 第一項による工事の遅延または中止期間が、工期の1/4以上になったときまたは2ヶ月以上になったとき。
b 発注者が工事を著しく減少したため、請負代金額が2/3以上減少したとき。c 発注者がこの契約に違反し、その違反によって契約の履行ができなくなったと認められるとき。
4. 発注者が支払を停止する(資金不足による手形・小切手の不渡を出すなど)などにより、発注者が請負代金の支払能力を欠くと認められるとき(以下本項において「本件事由」という)は、受注者は書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。受注者が工事を中止した場合において、本件事由が解消したときは、第二項を適用する。
5. 第一項または第三項の場合、受注者は発注者に損害賠償請求をすることができる。
第15条 解除に伴う措置
この契約を解除したときは、発注者が工事の出来形部分と検査済の工事材料・建築設備の機器(有償支給材料を含む。)を引きうけるものとして、発注者・受注者が協議して精算する。
2. 発注者が第13条によってこの契約を解除し、精算の結果過払があるときは、受注者は、過払額について、その支払をうけた日から法定利率による利息をつけて発注者に返す。
3. この契約を解除したときは、発注者・受注者が協議して当事者に属する物件について、期間を定めてその引取・あと片付などの処置を行う。受注者の処置が遅れているとき、催告しても正当な理由がなく行われないときは、相手方は、代って行い、その費用を請求することができる。
第16条 反社会的勢力の解除
発注者は、受注者が自らの社会的責任を果たすため、その事業活動から暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団、その他これに準じる反社会的勢力(以下「反社会的勢力等」という。)を排除することを広く社会に対して表明していることを確認する。
2. 発注者は、前項の受注者の表明を受け、受注者に対して、自らが反社会的勢力ではなく、また、反社会的勢力等が経営に実質的に関与している法人等でないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
3. 発注者及び受注者は、自らまたは第三者を利用して相手方または相手方の関係者に対して、暴力的な要求、法的な責任を超えた不当な要求、脅迫的な言動等を行なわない。
4. 発注者及び受注者は、相手方が前二項に違反したと認められるときは、何ら催告することなくこの契約を解除することができる。
5. 発注者及び受注者は、前項によりこの契約を解除した場合、解除により被った損害の賠償を相手方に対して求めることができる。
第17条 紛争の解決
この契約について発注者と受注者との間に紛争が生じたときは、発注者と受注者の双方または一方から相手方の承認する第三者を選んでこれにその解決を依頼するか、または建設業法による建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)のあっせんもしくは調停によってその解決を図る。
2. 発注者または受注者が第一項により紛争を解決する見込がないと認めたとき、または審査会があっせんもしくは調停をしないものとしたとき、または打ち切ったときは、発注者または受注者は、仲裁合意書にもとづいて審査会の仲裁に付することができる。
3. 第一項および第二項の定めにかかわらず、この契約について発注者と受注者との間に紛争が生じたときは、発注者または受注者は、仲裁合意書により仲裁合意をした場合を除き、裁判所に訴えを提起することによって解決を図ることができる。
第18条 連帯保証人
連帯保証人は、本契約に関連して生ずる一切の債務につき発注者と連帯して支払いを保証する。
第19条 補則
この契約に定めのない事項については、必要に応じて発注者・受注者が協議して定める。